日本刀修復 半太刀鞘製作事例 岐阜県Kさま
- 店主

- 2025年12月1日
- 読了時間: 4分
更新日:3月30日


今回は、鞘の新調案件のご紹介です。
ベースは既製の合わせ鞘を使い、半太刀拵えの金具を移植していくお仕事でした。
■ご依頼内容と半太刀拵え
もともとは「今の鞘の塗り直し」をご検討されていて、
お客様ご自身で塗膜を剥がした状態の鞘をお持ち込みいただいたのが始まりでした。
そこから状態を拝見し、
「合わせ鞘をベースに新調した方が良さそうです」という流れになりました。


■合わせ鞘でできたこと/できなかったこと
基本となる鞘は、規格品の合わせ鞘をベースにしています。
金具を現物合わせしながら調整し、
鐺(石突き)
柏葉
半太刀の金具を順番に合わせていきました。
ところが一か所だけ、どうしても寸法が折り合わなかったのが鯉口金具です。
鯉口金具だけ、合わせ鞘側の寸法とどうしても噛み合いませんでした。
お持ち込みいただいた鯉口金具の方がわずかに小さく、
このままでは鞘に対して寸法が足りない状態でした。
ハバキの寸法を基準に考えると、
鯉口金具を活かすためには ハバキを作り直す か、
鯉口金具に合わせて 鞘の口元を細く削り込む といった大掛かりな加工が必要になります。
強度やバランス、そしてご予算の面も考慮し、
今回はそこまでは踏み込まず、鯉口のみ移植を見送るという判断になりました。


■石突きの段仕上げと、差し戻し
一度、鞘の下地が上がってきた段階で、
石突きの段仕上げがうまく決まっていないことが分かりました。
このまま進めてしまうこともできなくはないのですが、
半太刀拵えにとって石突きは「足元」を決める大事な部分です。
職人さんには申し訳なかったのですが、
ここは思い切って差し戻し、石突きまわりを再製作していただきました。
こういった「ここは譲れない」「ここは呑み込む」という線引きは、
毎回悩みどころです。
意思の疎通も簡単ではなく、
いつも手探りでやり取りしながらの仕事になります。
■仕上げ・納期・お引き渡し
今回の案件は、お客様にも納期の猶予をいただいていました。
こちらとしては、トラブルや差し戻しもあり、
「だいぶお待たせしてしまったな……」という感覚でお引き渡しに臨みました。
ところが、その場でいただいた言葉は、
「思ったより早かったです」
でした。
急かされると焦って空回りすることもありますが、
不思議なもので「急がなくていいですよ」と言われている仕事ほど、
結果として早く、濃く仕上がることがあります。
今回も、まさにその典型だったように思います。
鞘加工と塗り期間に約2ヶ月半を要しました。
鞘の塗りは黒石目で、
半太刀の金具との相性もよく、落ち着いた仕上がりになりました。

■余談:対面でのお引き渡しと、スーパースポーツ
今回のお客様は県内の方で、
直接、事業所までお越しいただきました。
ネット系のお店では、対面での引き渡しをお断りしているところも多いようですが、
彰組では、玄関先での応対でよろしければ直接のお引き渡しも対応しています。
(事前に日程調整をお願いしております)
今回のご依頼者さまは、真っ赤な素晴らしいスーパースポーツ車で来訪されていて、
「刀と乗り物の組み合わせ」にも、いろいろな縁があるものだと感じました。
以前にもシボレーコルベットで
「ドライブしがてら関に行きたい」という方もおられました。
■余談2:戸山流とI瀬さんの思い出
戸山流を修めておられるとのことで、
亡くなられた鞘師のI瀬さんも戸山流の達人であったことを、
ふと懐かしく思い起こしました。
■掲載許可と参考明細
今回のような半太刀拵えのご依頼は珍しいこともあり、ブログでご紹介させていただきたいとお申し出したところ、ご依頼主様より快くご了承を頂きました。
記事の最後に、お名前など個人情報を伏せたうえで今回の明細を掲載いたします(記載の金額は2025年12月1日現在の参考価格です)。
同様の内容をご検討の際は、状態や仕様により金額が変わりますので、都度お見積もりとさせていただきます。






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