入院した話 後編
- 店主

- 2020年4月8日
- 読了時間: 5分
更新日:6月27日

■仮退院と摘出手術
二度目の造影検査のあと、外出許可が出ました。
そのタイミングで一度帰宅し、出荷作業と確定申告を済ませました。
自営業ですので、入院していても仕事が完全に止まるわけではありません。
身体は病院にあっても、頭のどこかでは仕事のことがずっと気になっていました。
その後、先生との打ち合わせを経て、仮退院が決まりました。
ただし、ドレナージの管は残したままです。
湯船に浸かれない生活は、まだ続きました。
仮退院から約2週間後、いよいよ胆嚢の摘出手術となりました。
手術は全身麻酔でした。
麻酔が入ると、本当に一瞬です。
直前で執刀医が変更になるということもありました。
少し不安もありましたが、担当してくださった先生は熱心な方で、
回診も早く、周囲の評判を聞いても腕の良い先生のようでした。
最初に説明を受けた時には、
体型の都合で腹腔鏡下手術が難しければ開腹になる可能性もあると聞かされていました。
結果として、無事に腹腔鏡下で終わり、そこは本当に安堵しました。
■術後の夜
術後の夜は、尿道カテーテルの違和感でほとんど眠れませんでした。
これがなかなかつらかった。
その夜、担当の看護師さんが夜勤でいてくださり、本当によくしてくださいました。
眠れないと伝えると、眠剤の点滴をしてくださり、
術後の点滴のスケジュールも丁寧に教えてくださいました。
「次に何があるのか」が分かるだけで、人間はずいぶん安心するものです。
最初に挨拶した時には、正直少し頼りなさそうに見えてしまったのですが、
実際には頭の切れる、とても優秀な方でした。
そのギャップもあり、強く印象に残っています。
入院生活では、看護師さんの存在の大きさを何度も感じました。
病気そのものを治すのは医師の仕事かもしれませんが、
日々の不安や不便を支えてくださるのは、看護師さんたちでした。
摘出手術後、食事はまず「おもゆ」から始まりました。
そこから少しずつおかゆになり、さらにおかゆとおかずが出るようになった時は、かなり嬉しかったのを覚えています。
何気ない食事でも、身体が戻っていく目安になるのだと思いました。


■病室で出会った人たち
入院中には、何人か印象に残る方と出会いました。
内科病棟で話し相手になってくださったMさんは、とても立派なお爺さんでした。
病気を抱えながらも落ち着いておられ、その話し方や姿勢から学ぶことが多かったです。
隣のベッドにいたKさんも忘れられません。
治る見込みは薄いかもしれないと感じる状況の中で、それでも日々を生きておられました。
Kさんの姿を通して、生きている限りは自分も頑張ろうと思いました。
病室では、普段の生活では出会わないような人たちと、
短い時間だけ同じ場所で過ごします。
名前も詳しい事情も知らないまま、それでも強く記憶に残ることがあります。
あの時話してくださった方々には、今でも感謝しています。
■入院生活で削られるもの
入院生活では、身体だけでなく気持ちもかなり削られます。
痛みがある時はもちろんつらい。
しかし、痛みが落ち着いた後も、病室の音、人の気配、
夜中の物音、先の見えなさが少しずつ積み重なっていきます。
今振り返ると、自分でもかなり余裕がなくなっていたと思います。
周囲の音に過敏になり、感情的になってしまった場面もありました。 ※壁を殴りました

病気そのものがしんどいのは当然ですが、入院という環境もまた、
人を追い詰めるものなのだと知りました。
その一方で、助けてくださる方のありがたさも強く感じました。
医師、看護師、同じ病室の方々、家から必要なものを持ってきてくれた家族。
そうした人たちがいなければ、乗り切ることはできなかったと思います。
■仕事が止まるということ
入院中、仕事も大きく止まりました。
自営業にとって、身体が止まることは、そのまま仕事が止まることでもあります。
出荷、連絡、予定、確定申告。
病院のベッドにいても、頭のどこかではずっと仕事のことを考えていました。
それでも、身体が動かなければ何もできません。
この病気を通して、健康であることが仕事の土台なのだと痛感しました。
普段は当たり前に思っている移動、作業、連絡、食事、風呂。
その一つひとつが、体調を崩すと途端に難しくなります。
胆嚢炎は無事に治りましたが、この経験はかなり大きな出来事として残っています。
■この入院で得たもの
今回の入院では、痛い思いも、不便な思いも、情けない思いもしました。
けれど、得たものもありました。
病気の怖さ。
入院生活の現実。
人に助けてもらうことのありがたさ。
仕事を続けるためには、身体を守らなければならないということ。
そして、病室で出会った人たちの姿。
Kさんの姿を見て、生きている限り頑張ろうと思いました。
Mさんとの会話から、年を重ねることの重みも感じました。
看護師さんたちには、ただただ感謝しています。
この時期はちょうど、新型コロナウイルスの影響が広がり始めたころでもありました。
医療の現場は、これからさらに大変になるだろうという空気がありました。
そんな中で、自分を治療し、支えてくださった皆さまには、あらためて感謝しています。
胆嚢炎での入院は、ただ病気を治しただけの時間ではありませんでした。
自分の身体、仕事、人との関わり方を見直すきっかけにもなりました。
この病気で得た体験と経験を、これからも忘れずにいたいと思います。




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