日本刀修理 軍刀修復 ツナギ製作事例 韓国P様
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- 2月28日
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更新日:3月30日

■韓国よりご依頼 ― 旧日本軍軍刀の全体再構成
2025年10月に、軍刀の柄のみを修復させていただいた案件の続編です。
前回記事はこちら ↓
今回は、お隣の国・韓国よりご依頼をいただきました。
曾祖父様の形見である旧日本軍の軍刀を、全体として形にしたいとのご相談でした。
前回は柄のみの修復でしたが、
今回は拵え全体の再構成をお手伝いさせていただきました。

■現存部品と今回の方針
現状として、
・柄
・鞘
・鍔
・切羽
は存在していました。
お客様が別途入手されたハバキは寸法的に使用が難しく、
無理に合わせることはせず、そのままご返却いたしました。
■国内であれば通常の手法
国内案件であれば、
砂型鋳造による亜鉛合金(シノハラ製Z合金)を使用し、
模擬刀刀身を仕込む方法が最も一般的です。
しかし、韓国では刀剣類に関する規制が厳しいとのことで、
P様より「木製での製作を希望する」とのお申し出がありました。
そのため今回は、
伝統的な技法に則ったツナギ(継木)、
すなわち木製刀身を製作する方針といたしました。

■ハバキについて
木製ツナギに木製ハバキを合わせることもありますが、
P様が真鍮製ハバキを取り寄せておられたことを踏まえ、
模擬刀用素体をベースに、
鞘寸法へ合わせて削り出し、
真鍮製ハバキを新規製作いたしました。
旧日本軍軍刀では真鍮ハバキが多く用いられますが、
通常の真剣では銅または銀製が一般的です。

■見本刀身が無い製作
通常のツナギ製作では、
形の参考となる本身が存在します。
しかし今回は刀身が現存せず、
鞘と柄のみが基準となりました。
そのため鞘師さんは、
拵えに合わせて少しずつ削り
組み込み
微調整を繰り返す
という工程を重ね、
全体のバランスを整えていきました。

■鍔の修正
鍔には曲がりが見られました。
実戦を経たものかは定かではありませんが、
可能な限り修正を行い、歪みを整えています。
■欠損部品について
鯉口金具および留め具は欠損しており、
現時点で適合する部品は見つかっておりません。
終戦から長い年月が経過し、
軍刀部品の流通も限られています。
P様も気長に探されるとのことで、
今後、適合部品が見つかれば再度ご相談いただく予定です。
■海外発送への配慮
EMSでの返送にも細心の注意を払いました。
品目を「Wooden sword」と記載すると
税関で止まる可能性があるため、
Cosplay Prop – Wood stick
と記載し発送いたしました。
国境を越える案件では、
製作だけでなく、通関もまた重要な工程となります。
■一連の工程を終えて
刀身こそ失われていましたが、
拵えに残された時間の痕跡は確かでした。
国や時代を越えて、
形見の品を整えるお手伝いができたことに、
あらためて仕事の意味を感じています。
遠い地で、また新たな時を刻んでいくことを願っております。






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