製作事例 柄製作 神奈川県S様
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- 2025年12月4日
- 読了時間: 3分
更新日:3月30日


■柄(つか)製作事例のご紹介
前回の修理ブログでは「鞘(さや)製作」についてご紹介いたしましたが、
今回は 柄(つか)製作 の事例をご紹介いたします。
■軍刀として時代を生き抜いた御刀
刃渡り66.7cmの御刀で、銘や年紀を拝見すると、
かつて軍刀として時代を生き抜いてきたことが伺えます。
今回のご依頼者さまは、この御刀を居合で使用されるとのことで、
実用に耐えうる、確実で堅牢な造りを心がけました。
■元金具の流用と「一貫巻」について
元の金具には、別の御刀に付いていた銅製の縁頭を分解・再利用いたしました。
なお、頭金具には紐通し穴がない様式でした。
柄巻きの技法は「一貫巻(いっかんまき)」をご指定いただきました。
この技法は「片手巻」と呼ばれることもありますが、
明智拵えのような螺旋状の巻き方を指す場合もあるため、
事前にお客様と仕様のすり合わせを行っております。
また「雁木巻」と混同されることもありますが、
菱(ひし)を作らず巻くという点で共通しながらも、技法としては異なります。
■糸の選択:木綿の魅力
今回は木綿糸を選択されました。
最も一般的なのは正絹巻ですが、木綿には吸湿性と柔らかな手触りがあり、
しっかりと握り込みたい居合用途においては非常に適しています。
耐久性の面では、
本革 > 木綿 > 正絹
の順で優れています。


■柄頭の構造と仕様選択
今回の柄頭(かしら)は紐通し穴のない様式でした。
そのため、天正拵えのように糸を掛けて補強する方法も可能ではありましたが、
元の柄には糸掛けが施されていなかったこともあり、
お客様のご希望により糸掛け無しで仕上げる仕様を選択いたしました。
また、「留(とめ)」については、
太刀式の留めと軍刀篝(ぐんとう かがり)のどちらにするか検討し、
今回は居合での実用性を最優先し、
より堅固な軍刀篝を採用しております。
頭金具は、実用に耐えるよう
強度の高い接着剤を用いて確実に固定しています。

■鞘金具の取り付けについて
ビフォー写真がなく恐縮ですが、
栗形が欠損していたため、金具の取付も併せて承りました。
お客様からは2種類の金具をお預かりし、
当初の指示では「既製栗形(シトドメ金具付)」へ変更予定でしたが、
鞘師さんの手違いにより、最初にご指示いただいた金具で取付が完了しておりました。
最終的にはお客様より
「最終指示と異なってしまったが問題ありません」とご了承を頂き、
感謝申し上げます。
今後は仕様変更の確認をより丁寧に行ってまいります。
■柄の寸法と納期
柄の長さは、居合での使用を考慮し、
刃渡りから算出した標準寸法よりやや長めの 8寸(約24cm) で製作いたしました。
お預かりは8月中旬、納品は12月初旬。
今回もご依頼者さまに納期のご配慮をいただき、
腰を据えて作業することができました。
結果として、非常に納得のいく仕上がりとなりました。


■おわりに
最後に、個人情報を伏せた形で明細を掲載いたします。
掲載の価格は2025年8月受注時の参考価格となります。
今後のご依頼につきましては、都度お見積もりをさせていただきます。
この度も、ご依頼いただき誠にありがとうございました。






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