製作事例 拵え新調-特殊栗形移植 福島県T様
- 店主

- 5月10日
- 読了時間: 3分

■中古で購入された御刀を居合道用に整える
今回は、中古で購入された御刀を、今後居合道で使用されるためにお預かりいたしました。
現状の鞘には傷みがあり、また柄の不具合から鍔にガタつきも見られたため、
当初は合わせ鞘の確認と、柄・鍔まわりの調整としてご相談をいただきました。
■既製の合わせ鞘には収まらなかった理由
まず合わせ鞘を確認したところ、御刀は身幅が広く、重ねも厚い、
がっしりとした造りでした。さらに大きな二重ハバキが付いており、
既製の合わせ鞘の鯉口には収まりませんでした。
■二重ハバキを活かした鞘製作
今後の鞘の選択肢を増やすという意味では、ハバキをより一般的な一重のもの、
さらに言えば薄めのものに作り替える方法もございました。
ただし、個人的な所見としては、外してしまうには惜しい良いハバキでしたので、
今回はそのハバキを活かし、鞘を新規で製作する方向でご提案させていただきました。
■居合道での使用に向かなかった元柄
柄についても、一筋縄ではいきませんでした。
元の柄は、御刀に対して中心が出ておらず、棟側に寄った状態でした。
また、縁金具の角度が合っていないことからも、
後から合わせた柄である可能性が考えられました。
加えて、鑑賞向きの琴糸巻でもあり、居合道で使用される用途には向かないと判断し、
ご予算をいただいたうえで、金具は流用し、柄は新規で製作いたしました。


■鮫巻補強による強度確保
今回は、お客様より鞘の鮫巻補強をご希望いただきました。
鞘を細めたうえで鮫巻を施すことで、強度を確保しつつ、
見た目にも特徴のある仕上がりとなりました。
長くお使いいただける拵えになったことと思います。
■肉厚を考慮した肥後風の鯉口高角
一方で、鯉口部分の肉厚には余裕が少なかったため、今回は肥後風の鯉口高角とし、
強度と納まりを両立させました。
元鞘も、この御刀に元々付いていたものではないようで、
鯉口は限界近くまで削り広げられていました。


■元鞘から受け継いだ栗形
また、元の栗形は一見すると石のようにも見える、鹿角と思われる珍しい材でした。
大変個性的な品でしたので、今回は移植することで活かすことにいたしました。
仕上がった拵えの中でも一際目を引き、良いアクセントになっています。


■お客様からのお便り
T様より、Eメールにてご感想をいただきました。
「お世話になります。
先程、受け取りいたしました。
早速居合型を軽く行いました。
身幅、重ねともにガッシリした御刀ですが拵えにしっかり収まっており、
安心感を感じました。
美しさの面でも特殊な栗型を綺麗に移植いただき、
個性も感じる仕上がりに感謝申し上げます。
今後も何かありましたら、是非ご相談致したく思います。
取り急ぎ受け取りの連絡と御礼申し上げます。」
大変うれしい内容のお便りをいただき、製作させていただいた甲斐がございました。
■製作を終えて
今回は納期を超過してしまい、ご迷惑をおかけいたしましたが、
T様には終始落ち着いてお待ちいただきました。
そのおかげもあり、クオリティとして良い状態でお引き渡しすることができました。
T様、この度は大切なご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
ブログでのご紹介についてもご快諾いただきましたので、
個人情報や銘には触れず、参考となる明細を掲載させていただきます。
※下記明細は、2025年10月1日時点のお見積もりによる参考価格です。






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