日本刀修理事例 切っ先調整(刃引き) 神奈川県I様
- 店主

- 5 日前
- 読了時間: 3分

■切っ先をぶつけて曲がってしまった御刀
今回の事例は大掛かりな修理ではありませんが、比較的よくあるトラブルの修正です。
切っ先を固いところへぶつけてしまい、歪み・曲がりが残ってしまったため、
修復できないかというご相談でした。
お預かりする前の段階では、帽子のみを研ぎ直す修理を想定しておりました。
実際に御刀を拝見すると、刀身全体の研ぎの状態があまり良くなく、
切っ先だけの帽子直しに予算を掛けるべきではないと判断しました。
そこで今回は、刃引き(刃先を少しなだらかにする加工)による
簡易的な修正をご提案させていただきました。
切っ先は予想していたよりも自然な仕上がりとなり、
当初の目的は十分に果たせたと思います。

■鍔のガタつきと鯉口の緩み
また、鍔が表裏逆に取り付けられていたため正しい向きに戻し、
大きく出ていたガタつきも修正いたしました。
鯉口も緩く、刀を下に向けると刀身が落ちてきてしまうとの
ご相談がありましたので、鞘の内側に朴の木を貼って調整しました。

■柄木には割れがありました
柄については、分解して確認したところ柄木が割れていました。
この状態でこれ以上稽古に使用するのは危険である旨をお伝えしたところ、
今後この御刀は柄を修理するまでは振らない、という判断をお客様の方でされました。

■全体研ぎも検討されましたが
作業の順番待ちの間にお盆期間を挟みましたが、その間に
「臨時収入があったので、全体の研ぎ直しも検討したい」
とご連絡をいただきました。
全体を研ぎ直した場合の概算として約15万円をご案内したところ、
ご予算を超えるとのことで今回は見送られることとなりました。
もし追加でご予算を掛けるのであれば、
今回は研ぎよりも柄を製作された方がよいかもしれないともお伝えしましたが、
最終的には当初ご依頼いただいた修理のみとなりました。
■帽子のみを本研ぎする場合
ちなみに、今回のような帽子を本研ぎで修理する場合は33,000円(税込)となります。
一部分のみを直すため、どうしても割高な修理となります。
刀身全体の研ぎがきれいな状態で、切っ先だけに欠けや曲がりが
生じている場合には有効ですが、今回のように全体が古い研ぎの状態であれば、
予算を掛ける際には全体を研ぎ直した方がよいと考えます。
■修理完了-納品へ
今後はしばらく使用されないとのことでしたので、
最後に解けていた下げ緒を結ばせていただき、納品となりました。
この度はご依頼いただき、また事例紹介にもご快諾いただきありがとうございました。







コメント