滅びぬ黒 ― 刀と人を包む、静けさの正装
- 店主

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更新日:5 時間前

he Immortal Black – The Formal Silence that Enfolds the Blade and the Man
朝、黒いTシャツを着る。
そこに迷いはない。
黒という色は、何も語らずに一日を受け止めてくれる。
決められた制服ではなく、心の温度を整える“道服”のような存在だ。
装飾を減らすほど、思考が澄み、心の動きが研ぎ澄まされていく気がする。
刀にとっても、黒は特別な色だ。
古来、正式な拵(こしらえ)には「黒塗鞘(くろぬりざや)」が用いられた。
それは武家の正装であり、品格を示す象徴。
黒は光を吸い込み、刃の白を際立たせる。
静寂のなかでこそ、真の輝きは見える。
黒は退色しない。
時代が変わっても、黒は黒のままだ。
派手な色は流行とともに消えるが、黒は沈黙を選びながら生き残る。
それは頑固でも、冷たくもない。
ただ、“不滅”という言葉のように、揺るがぬ存在感を持っている。
黒をまとうとは、誇示ではなく整えること。
余計なものを削ぎ落とし、芯だけを残すこと。
刀を研ぐように、自分の内側を磨き続ける行為に似ている。
日々の黒Tも、ある意味でその延長線上にあるのかもしれない。
御刀商彰組の黒は、そうした「滅びぬ黒」でありたい。
見せるためではなく、守るための黒。
飾り立てずとも滲み出る静けさ。
それが、刀と人を結ぶ“正装”の色である。







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