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滅びぬ黒 ― 刀と人を包む、静けさの正装
he Immortal Black – The Formal Silence that Enfolds the Blade and the Man 朝、黒いTシャツを着る。 そこに迷いはない。 黒という色は、何も語らずに一日を受け止めてくれる。 決められた制服ではなく、心の温度を整える“道服”のような存在だ。 装飾を減らすほど、思考が澄み、心の動きが研ぎ澄まされていく気がする。 刀にとっても、黒は特別な色だ。 古来、正式な拵(こしらえ)には「黒塗鞘(くろぬりざや)」が用いられた。 それは武家の正装であり、品格を示す象徴。 黒は光を吸い込み、刃の白を際立たせる。 静寂のなかでこそ、真の輝きは見える。 黒は退色しない。 時代が変わっても、黒は黒のままだ。 派手な色は流行とともに消えるが、黒は沈黙を選びながら生き残る。 それは頑固でも、冷たくもない。 ただ、“不滅”という言葉のように、揺るがぬ存在感を持っている。 黒をまとうとは、誇示ではなく整えること。 余計なものを削ぎ落とし、芯だけを残すこと。 刀を研ぐように、自分の内側を磨き続ける行為に似ている。

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1 日前読了時間: 2分


甲冑と記憶と光 ― 金沢にて
2015年の冬、元先輩に誘われて城跡シンポジウムへ出かけた。 先輩は甲冑姿でデモンストレーションを行うという。 ボランティアで、事前のアポもない。 自分のミッションはただひとつ――漫画『センゴク』の作者、宮下英樹先生にサインをもらうことだった。 前夜祭の夜、元先輩と二人で中華料理を楽しんだ。 あたたかい湯気と香辛料の香り、お酒の後味。 明日のことを語り合いながら、 どこか学生時代の延長のような夜だった。 翌朝、金沢城を見学した。 白壁に光が反射し、堀に青天が映っていた。 その壮麗な建築の中に、人の手の積み重ねを感じた。 「ものをつくる」ことの本質は、時を超えても変わらない。 先輩の甲冑は、すべて自作だった。 甲冑同好会に所属し、鉄を叩き、鋲を打ち、板を曲げ、ひとつずつ造り上げたという。 柄物は、本職の作業の合間に作った長巻(ながまき)。 その武具を手にする姿は、まるで“再生された戦国の記憶”そのものだった。 先輩は甲冑姿でボランティアのデモンストレーションを行う。 自分のミッションは―― 漫画『センゴク』の作者、宮下英樹先生にサインをもらう

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1 日前読了時間: 2分


日本刀修理 製作事例 柄巻き 韓国P様
日本刀修理 製作事例 柄巻き 韓国P様 今回の修復(日本刀修理)は、お隣・韓国からのご依頼でした。曾祖父が所持していた軍刀の柄巻きを直したいという内容です。 やり取りは、翻訳機を使用した日本語と英語。お互いに機械翻訳を通じながらも、言葉の壁を越えて丁寧に意思疎通ができました。 材料と施工について 支給された紐は使用しませんでした。(紐は同封されていましたが、「日本製の糸で巻いてほしい」とのご希望をいただきました。) 柄木は割れていましたが、補修を行い、糸巻きを施工。柄の終わりの留めには、特殊な「軍刀篝(かがり)」という手法を用いています。 かつて関で活躍された巻師さんが、現物の軍刀篝を解いて構造を研究し、技法を習得されたという話を伺いました。その際にほどいた糸を、今も大切に保管されているそうです。 費用と仕上がり 鮫皮補修、柄木の割れ補修を含め、ご予算は3万円台となりました。 遠くからのご依頼、誠にありがとうございました。

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10月1日読了時間: 1分


日本刀修理 製作事例,鞘製作&研ぎ 和歌山県F原様
日本刀修理 製作事例,鞘製作&研ぎ 和歌山県F原様 同じ道場の方からご紹介を頂きご依頼がございました。 作業内容は,第一に曲がり直し,鞘製作。 それに付随して合わせ鞘(既製の替え鞘)と研ぎ直しも行いました。 最終組み立てで行った鍔のガタ直しはサービスさせて頂きました。 曲がり直しに伴って,研ぎをし直す事により,より細かな形状の修正が出来ます 鞘を製作する際にこの微細な修正が大切になってきます。 研ぎの状態も,刃紋が見えにくくなって来ていましたので 全体を化粧しなおす事によって鑑賞もより楽しめるようにレストアが出来ました。 柄は革巻きで丁寧にご使用されていた為、今回は手を付けていません。 まだ数年間は使用に問題ないと思います。 既製の合わせ鞘は初期段階でガタがあったのですが加工で ぴったり納まっています。塗はともに黒石目塗で、栗形の形状や鐺の形状でしか 判別がつきません。より一段とスムーズに納刀出来るのは本造り鞘の方ですが 稽古であれば合わせ鞘でも良いでしょう。本造りの鞘は刃側に補強が入っています 後加工で一回は延命措置(修理)がきくのでより長く使

店主
7月17日読了時間: 2分


少し変わった加工をしました
模擬刀(刀身のみ)を持ち込みいただき(他社製) 合わせ鞘の塗なし&ハバキ合わせをご依頼頂きました。 ご自身で塗作業をなさるので栗形を外した状態でというご指定でした。 ナカゴが細目に削られてしまっていた為 銅地のインサートを挿入して現物対応を致しました。

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4月14日読了時間: 1分


日本刀修理 製作事例-天正拵(住所非公開)〇〇さま
日本刀修理 製作事例-天正拵(住所非公開)〇〇さま 日本刀修理,レストアの製作事例です。元の柄は合わせ柄で,拵えの製作を承りました。 最初は柄をメインに鞘は合わせ鞘を予定しておりましたが せっかくなのでとの事で鞘も本拵えで,返ツノ付きの天正拵えをオーダー頂きました。 頭の「張り」については自分が思っていたような形状ではなくて 職人さんとも少し言い合いをしました。 下地の状態で,柄なりについてはお客様にご確認を頂きOKを出して貰い仕上げました。 個人的には「天正風」であり胸を張って天正ですと言えず心が苦しい。 こうしたい,という意思疎通は難しいのだと感じました。 見本写真をお渡ししてあったのですが・・最終的にお客様が納得して下さり助かりました。 豚革(裏)緑色 ひねり巻き 握り具合については好評を頂きました 鮫皮は腹合わせをしています。握り調整を一発で決めないといけない難しさがありました。 鯉口はフラットを希望します、と聞いていたのですが 鞘師さんに「今回は天正だから」と5-6回言っていたら 天正の段付きで上がってきました。 お客様の要望と違います

店主
4月6日読了時間: 2分


ココナラで図面作成を依頼しました
#ココナラ で,図面作成を依頼しました! https://coconala.com/users/2794937/ Hテック波多野さんにお願いしてあって 1年が経過。なんとかしなきゃなって思って。 略図であり、数値がわかればそれでよい そういう要望をキッチリ受け止めてくださり...

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3月6日読了時間: 1分


製作事例 日本刀完全レストア 愛知県I様
久々に事例のご紹介です。 ご相談頂いたときには登録証が存在せず、 お客様の方で発見届,登録を行って頂きました。 かなり痛んだ外装でしたが銘を見ると旧日本軍の軍刀の様でした 美濃伝の御刀がまた関に来てくれましたね。 レストア内容は模範的なフルレストアとなり これから工作をお考えの方に是非参考になさって頂きたいと思います。 コストを下げる部分では鞘を手作りではない既製品の鞘としました これは合う物がある場合のみ可能です。 柄は手作りですが鮫皮を少しお安い「親粒」のないものとしました 元の柄にならい,黒染を施工しました(本漆ではございません) ハバキもコストダウンで,銅ハバキで製作いたしました。 銀も銅も地金(材料)の値上がりが著しいです。 素材は安価にしましたが勿論手作りです。 お客様提供の,元の状態のお写真です。 金具は,切羽とハバキ以外は流用しました。 最後に個人名を伏せて詳細を掲載致します。 御刀に関して初心者のお客様でしたので 手入れ方法の記載されている書籍と手入れ道具一式を サービスさせて頂きました。

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2月26日読了時間: 1分


製作事例 柄巻き,豚革巻き 東京都H様
お客様ご自身が鮫巻をされた柄をお預かりし、 柄巻きを施工致しました。 豚革(本革)ひねり巻き 深緑色 表革 柄の形状が宜しくなくて 一度はお断りしようと思ったのですが 職人さん曰はく「予想していたより不格好にならなかった」 という事で無事に納まりました。 細かい話になりますが 牛革は緑で豚革は深緑となります。 元材料が違うため、ご了承ください。 目貫位置にも指定がありました。 元は鹿革で一度巻いたそうですが,お客様の方で解いて清掃して下さり お送り頂きました。柄前のみをお預かりしました。 最後に個人情報を伏せて明細を提示致します。 常々ご注文頂いているお得意様でして、 お値引きを提示されて打ち合わせの上 値下げさせて頂きました。

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2024年11月1日読了時間: 1分


製作事例 鞘製作&鞘修理 東京都Sさま
製作事例のご紹介です。元鞘(本造り鞘)が広範囲にわたって割れてしまい, 鞘の製作で引き受けました。新規製作の鞘は本造り(手作り)で塗は 最上級の乾漆石目塗を施しました。これは元鞘に合わせました。 破棄する予定であった元鞘でしたが職人さんが「鮫巻修理可能」と判断され お客様にご予算を頂き修復させていただきました。 通常の鮫巻より広範囲を巻いております(今回は特別に通常の価格にて施工しました) 元鞘と同等品の,銀無垢製栗形シトドメ金具をオプションで装備致しました。 ご依頼者さまのご意向で明細は公開いたしません。 詳しい金額のお問い合わせはEメールにてお願いいたします。

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2024年10月15日読了時間: 1分


製作事例のご紹介 千葉県Z様 ハバキ製作
まずはアフターのお写真から掲載。 薙刀のハバキが割れている,しかも固着して外れない。 というご相談を頂きました。お写真を拝見して修理できるかもしれないという 楽観的な予測の元、現品を受け取りました。診断開始です。 拵え入りの槍、薙刀の場合は運搬できる車両が無い為、引き受けら...

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2024年10月12日読了時間: 1分


試斬が禁止に?!
X(旧Twitter)より引用 https://x.com/IsaoMachii/status/1810940955865788823 このような視点から見ると,先日TVで放映された 芸能人タレントによる試斬体験は「以ての外」となりますね・・ なんの訓練もせずいきなり真剣を振っていました。 黒歴史にならなければ・・事故が起こらずよかったのかな。 あれは企画したTV局も良くなかった。 インパクトのある絵を求めていたんでしょうかね。 間違ってはいけないのは訓練を積んだ者が行う試斬と 素人が行う試斬を縦わけて考えてほしい。 手順を踏んで訓練して斬るならとても良いと思います。 弓道教室でも,いきなり的前には立てません。 部活では,何ヶ月か徒手とゴム弓でしたしね。 巻き藁で引いてようやく的前に立てました。 型の居合演武での真剣使用も規制されるのでは? という懸念も挙がっています。 良識のあるユーザーさまによって支えられている業界です 国は何でも規制しようとしますので, なんとかそうならないように済んで欲しいと思います。

店主
2024年7月11日読了時間: 1分


物凄い模擬刀をお預かりした件と素延べ刀の話
鞘のご依頼でお預かりした模擬刀なのですが・・ ※製造メーカー不詳 中古品 メッキの地の部分に積層の模様が再現されていました。 写真では伝わり切りませんが,鍛え肌風の模様が見て取れました。 二本樋の造り込みで豪壮。依頼者さまもどなたかからか預かった品なので 詳しいことまで調べられませんでした。 これが量産化されたら従来の模擬刀の商品価値が完全に負けそうです・・ 下地処理なのか特殊なメッキなのか? 刃紋についてはオーソドックスな二重刃紋でした。 ショットブラストで模様付けした模擬刀を一回だけ見たことがありますが 見事な出来でしたが流通しませんでしたね・・。 そういえば話題が変わりますが 素延べの鉄製居合刀を登録制で武道用に 普及させようという動きがあるらしいです。 海外では一般的ですが国内では違法ですので。 これが合法化すると,美術用の現代刀と二分されることになりますね。 いろいろなメリットがありそうです。真剣新作刀69マンが高くて買えない方が おおよそ20マン(?)くらいで鉄製の刀が振れるようになる。 真剣にステップアップできなくて苦しかった方の

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2024年7月1日読了時間: 2分


拵え製作事例 熊本県N様
久々になる製作事例のご紹介。 中古でご購入されたお刀の拵のリニューアル。 元有った鮫鞘は休め鞘として運用し 新たなる鞘をご用意しました。元柄は太く作られていた上に 目釘穴も合っていなかったので作り直しとなりました。 鞘は合わせ鞘(既製品)で柄は製作させて頂きました。 本革巻き(緑色)表革ひねり巻き、 目貫位置中央のご指定でした。 (元あった柄が、太めに作られていたので) それよりは細く作り直しました。 元鞘(鮫鞘)の鯉口金具が欠落していたので 新たに取り付け、黒ツヤ塗りで補修しました。 鮫鞘は、休め鞘として残し 新たな鞘を演武に使用する予定です。 鍔のガタ直しや刀カバンもご注文いただき ご予算は12万円台となりました。 #日本刀 #日本刀鞘 #日本刀修理 #日本刀レストア #伝統工芸 #鞘師 #御刀商彰組 #日本刀革巻 最後に個人名を伏せさせて頂いて参考価格を明示致します。

店主
2024年3月26日読了時間: 1分


イナズマ入荷!(B級鞘 きたる)
総数をカウントしきれなかったのですが おおよそ2000本近いB級鞘を預かりました。 長期在庫の処分品ですが,清掃検品して一点一点手売りしていきます。 本音を申せば数本ずつまとめて売りたいところですが・・ 生きている間にすべて売り切れるかもわかりません。...

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2023年12月19日読了時間: 2分


銘-兼篤 ダマスカス鋼製剣鉈 9寸
関市製 ダマスカス鋼製の剣鉈「兼篤作」270㎜(9寸)廃版品最後の1品 長期在庫 ブランドとしての「兼篤」は展開を終了しており, この剣鉈を含めて包丁も廃版となっております。 デッドストックのファクトリーナイフを仕入れに行った際に,試に聞いてみたところ...

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2023年10月7日読了時間: 2分


随想 関商工 刀剣科(刀職科)2
ニュースリリースがあってからX(旧Twitter)では言及してみましたが 改めてブログ記事にしておきます。 日本刀学科ではなく,もっと広い意味での刃物の学科ですが 組合と岐阜大学の連携がはじまったようです。 零細のバフ研磨工場に就職したことがありましたが ほぼ同時に入社した男性と諍いがあって,そそくさと逃げ出した事がありました。 半自動研磨機で磨くのですが,深い傷があるものは 不良品で除きます。その男性が品物を戻して機械に流してくるので 深い傷の物は弾くようにと伝えると「俺はそれは聞いていない」と 受け入れてもらえず大変困りました。彼もいまは元気にやっているのでしょうか。 あのような小さな町工場が支えていた産業構造はこれからどうなっていくのでしょう。 勿論日本刀の協会,組合でも技術研修はございます。 関市に限らず全国に職人さんはあります。 おおやけの国か県か市かのバックアップも必要性を感じています。 SNSの発展に伴って,職人さんの直需化も進み ユーザーさまも 吟味して直接依頼されるような文化に転換していくさなかにあるように思います。...

店主
2023年9月16日読了時間: 2分


事例のご紹介 鞘製作 東京都Aさま
本拵え(本造り)の鞘の製作をご依頼頂きました。 当初は「合わせ鞘」で承ったのですが 身幅,重ね,反りなどの都合でフィットする物が見つからず 本造りの鞘へ変更頂きました。 具体的には入るものはあったのですがガタつきをおさえきれませんでした。 ご予算は2倍以上違ってきます。 しかし完全に適合する鞘は扱っていて気持ちが良いです。 スルスルと納まる様は比べると全然違います。 2尺1寸をわずかに超える「大刀」に分類されるのにもかかわらず 元鞘は丸い鞘尻であったことが(オーナー様の)最大の懸念でした。 丸い鞘尻は脇差などに多く見られる形式でした。 入手にあたってヤフーで格安であった分 鞘に投資していただけました。 ↑このお写真からは鍔の質感が見て取れると思います。 近代の作かと思われますがSNS上での反応が良く, このような鍔がウケが良いのだという知見を得ました。 交換を予定していましたが,代替えの手ごろな鍔が見当たらず 暫定的ではありますがそのままの採用になりました。 鞘が渋く仕上がった分 親和性が良くなり調和が取れていると思います。 金色メッキのシトドメ

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2023年9月15日読了時間: 2分


刀カバン(刀鞄,キャリーケース)のご紹介
日本刀の運搬に使用できる専用の刀カバン(刀鞄)のご紹介です。 合成皮革製で,イメージとしては安価なランドセルのような質感です。 皮自体は柔らかく,本体は折りたためるほどです。 目安となるサイズですが 特大 刃渡り2尺7寸 拵え全長116㎝ 大 刃渡り2尺6寸 ...

店主
2023年9月12日読了時間: 1分


栗形用シトドメ金具 真鍮製or銀無垢製
根強い定番商品のご紹介です。鞘の栗形(栗型)を装飾する シトドメ金具です。鳥の鵐(しとど)の目に似ているから「鵐目」とも書きます。 3種類のご用意がございます。真鍮製の金色メッキ,銀色メッキのもの それから銀無垢製です。 従来流通していたブリキ製は2ピース構造で...

店主
2023年9月12日読了時間: 1分
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