聖剣─ 取り戻された品格と、お守り刀になるまで
- 店主

- 2025年11月13日
- 読了時間: 3分
更新日:4月20日


■聖剣との出会いと、最初のご相談
今回のご依頼は、心を砕きました。
最初は、軽い修正のつもりでお預かりしたのですが、
ふたを開けてみれば、最終的には大掛かりな仕事になりました。
刃渡りも十分にある諸刃の剣です。
一般的な「剣」は短いものが多いのですが、
この一振りは、まさに“聖剣”と呼びたくなる風格を持っていました。
■遠方の工房へ託した研ぎと、思わぬ行き違い
研ぎについては、遠方の工房にお願いすることになりました。
本来であれば、研ぎは仕上げに行うべきところ、
他の段取りとの兼ね合いもあり、先に進める形になりました。
それに付随して、いくつかの加工も合わせて依頼しました。
初めてのお付き合いということもあり、
こちらとしても大きな期待を込めて託したのですが、
そこで思いがけないアクシデントが起きてしまいました。
詳細を書くのは控えますが、
そのままお客様へお返しするには忍びない状態になってしまい、
私自身の判断の甘さも含めて、深く反省するきっかけになりました。
■関の職人たちと探した、リカバリーの道
すぐに関市内の職人方に相談し、
「なんとか元の品格に戻したい」という一心で、
皆でリカバリーの方法を模索しました。
こちらのわがままに近い相談にも耳を傾け、
「それなら、こうすればまだ戻せるかもしれない」と
一緒に道を探ってくださいました。
ある方は塗りの手配を、
ある方は細かな傷を消す段取りを、
ある方は全体のバランスを見て最終チェックを。
自分だけでは到底ここまで戻せなかった──
今回あらためて、そう実感させられました。
この場を借りて、関わってくださった職人の皆さまに、
心から感謝をお伝えしたいです。

■O様と重ねた200通のメール
ご依頼主のO様とは、打ち合わせのほとんどをEメールで行いました。
一つひとつ確認していくうちに、
気づけばメールのやり取りは 200件を超えていました。
ここまでの熱量で付き合ってくださる方は、そう多くありません。
画面の向こうで、同じだけ本気になってくださっているのが伝わってきて、
こちらも自然と力が入りました。

■聖剣と呼ぶにふさわしい金具の仕立て
金具まわりは、いわゆる“それらしい雰囲気”では終わらせたくありませんでした。
聖剣と呼ぶからには、細部まできちんと格を整えたい。
鍔・切羽・目貫には、24金メッキを施しました。
ギラギラと主張する金ではなく、
刀身や鞘の色味にそっと寄り添うような、やわらかな光を選んでいます。
縁・頭は、本金梨地で仕上げました。
手に取ると、細かな粒子が指先にかすかに触れるような、あの独特の質感です。
ここを手を抜かずに整えることで、
「聖剣」と呼ぶにふさわしい一振りになってくれたと感じています。
■家のお守り刀として迎えられる一振り
この刀は、O様のご自宅でお守り刀として迎えられます。
ときどきふと視線を向けていただいて、
「あのとき任せてよかったな」と思っていただけたなら、作り手として本望です。
商売として見れば、決して割のいい仕事ではなかったかもしれません。
途中の行き違いや手直しもあり、
時間もコストも、当初の想定を大きく超えていきました。
それでも、関の職人方と力を合わせて、
「できる限りの形」でお返しすることができました。
利益の数字だけでは測れない一振り。
そういう仕事をさせていただけたことに、今はただ感謝しています。
最後に、個人情報を伏せた形で今回の明細を掲載いたします
(2025年11月現在の価格です)。
なお、研ぎ代は特価設定のため、同様のご依頼(剣)の場合は別途お見積もりとなります。
※鞘に文字がはいっており公開したくないご意向で 全体写真はNGの為,未掲載です






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