鮫鞘を残し-居合用の拵えを整えた事例 拵え製作 熊本県N様
- 店主

- 2024年3月26日
- 読了時間: 4分
更新日:8月3日


久しぶりに、製作事例をご紹介いたします。
今回お預かりしたのは、中古で購入されたお刀です。
元の拵えには鮫皮を巻いた鞘が付いていましたが、すでに若干の傷みが始まっていました。
そのまま居合で使い続けると、さらに消耗が進むことが考えられます。
そこで、元の鮫鞘は常用から外して残し、
新たに居合用の鞘をご用意することになりました。

■元の鮫鞘は残し、実用鞘を別に用意
装飾性の高い鞘や古い鞘を傷めないため、
稽古用・常用の鞘を別に用意することがあります。
今回も、元の鮫鞘をこれ以上消耗させないことを優先しました。
新たに用意した鞘は、既製の合わせ鞘です。
合わせ鞘は、刀身に合わせて一から製作する本造り鞘ではなく、寸
法や反りの近い既製鞘を選び、お刀に合わせて加工・調整するものです。
使用できる合わせ鞘が見つかる場合に限られますが、
本造り鞘より費用を抑えやすく、居合や稽古用の鞘としてよく選ばれます。
今回は黒石目塗りの合わせ鞘をご用意しました。
■元の柄は太さと目釘穴に問題
元の柄はかなり太めに作られていたうえ、目釘穴の位置も刀身と合っていませんでした。
そのため、元柄を調整して使用するのではなく、新しく作り直すことになりました。
柄は刀身の茎や目釘穴、金具の寸法に合わせて製作しています。
今回は、元の柄よりも細い形状で仕立てました。

■緑色の本革によるひねり巻き
柄巻きには、緑色の本革を使用しました。
革の表面を使用した、ひねり巻きです。
目貫の位置は、お客様のご指定により柄の中央に納めています。
柄の太さや目貫の位置は、見た目だけでなく、握った際の感触にも影響します。
今回は元柄の太さをそのまま踏襲せず、
居合で扱うことを考慮して、少し細く仕立て直しました。
■元の金具を流用
鍔、目貫、縁、切羽は、元の拵えに付いていたものを流用しました。
すべてを新しくするのではなく、使える金具は残し、
柄と鞘を実用に合わせて整えています。
元の拵えが持っていた雰囲気を引き継ぎながら、
必要な部分のみを更新する形となりました。

■鮫鞘の鯉口金具を補修
元の鮫鞘は、鯉口金具が欠落していました。
そのため、新しい鯉口金具を取り付け、周囲を黒ツヤ塗りで補修しました。
常用の鞘は新しく用意しましたが、元鞘もそのまま放置せず、
残しておける状態に整えています。

■鍔のガタ直しと刀カバン
このほか、鍔のガタつき修理と、刀カバンもあわせてご注文いただきました。
鍔のガタつきは、使用時の違和感だけでなく、安全面にも関わります。
拵え全体を整える際には、柄や鞘だけでなく、
鍔や切羽の納まりも確認することが大切です。
■元を残しながら、常用できる拵えへ
今回のように、元の鞘に傷みが始まっている場合、
無理に使い続けず、常用の鞘を別に用意する方法があります。
元鞘は残し、稽古や居合には合わせ鞘を使用する。
装飾性のある鞘や、今後も残したい外装を守るためには、現実的な選択です。
また、合わせ鞘を利用することで、
本造り鞘を新規製作するよりも費用を抑えやすくなります。
今回は、傷み始めた鮫鞘を残しながら、
居合に使用できる柄と鞘を整えることができました。
■費用について
柄の新規製作、合わせ鞘の調整、元鮫鞘の補修、鍔のガタ直し、
刀カバンを含め、ご予算は12万円台となりました。
2024年3月納品の事例です。
見積もりや受注はそれ以前となりますので、
現在は材料費や工賃の改定により、同じ内容でも価格が異なる場合があります。
同様の修理をご検討の方は、参考事例としてご覧ください。
このたびはご依頼いただき、誠にありがとうございました。






コメント