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聖剣─ 取り戻された品格と、お守り刀になるまで
聖剣との出会いと、最初のご相談 今回のご依頼は、心を砕きました。 最初は、軽い修正のつもりでお預かりしたのですが、 ふたを開けてみれば、最終的には大掛かりな仕事になりました。 刃渡りも十分にある諸刃の剣です。 一般的な「剣」は短いものが多いのですが、 この一振りは、まさに“聖剣”と呼びたくなる風格を持っていました。 遠方の工房へ託した研ぎと、思わぬ行き違い 研ぎについては、遠方の工房にお願いすることになりました。 本来であれば、研ぎは仕上げに行うべきところ、 他の段取りとの兼ね合いもあり、先に進める形になりました。 それに付随して、いくつかの加工も合わせて依頼しました。 初めてのお付き合いということもあり、 こちらとしても大きな期待を込めて託したのですが、 そこで思いがけないアクシデントが起きてしまいました。 詳細を書くのは控えますが、 そのままお客様へお返しするには忍びない状態になってしまい、 私自身の判断の甘さも含めて、深く反省するきっかけになりました。 関の職人たちと探した、リカバリーの道 すぐに関市内の職人方に相談し、 「なんとか元の品格

店主
2025年11月13日読了時間: 3分


サブ端末を買って良かった話
静かな夜に寄り添う“良い道具” 寝る前の動画垂れ流し用に使っていたTeclastの8インチタブレットが、半年で沈黙した。バッテリーがだめになったらしく、充電してもすぐ落ちる。値段も手頃だったけど、やっぱり安物買いの銭失い。 セール中に見つけたRedmi Pad SE 8.7(¥9980-)に買い替えたら、これが大正解。画面は明るく発色が自然で、音もクリア。バッテリーもちゃんと持つし、熱もほとんど出ない。省電力設計という言葉がここまで実感できるとは思わなかった。 同じくらいの値段なのに、ここまで差が出るのかと驚く。やっぱりXiaomiは作りが丁寧。ちなみにスマホもPOCO X7 Proを使っていて、操作感が統一されていて気持ちがいい。寝る前に動画をつけっぱなしにして、朝まで安心して放置できる──それだけで十分価値がある。

店主
2025年11月11日読了時間: 1分


サバイバルゲームと刀
—現代の戦場で思う、心の間合い— はじまりは弓道部の放課後 高校1年のとき、同級生のK島から譲ってもらったガスガンがすべての始まりだった。 彼とは弓道部の仲間で、放課後になると裏山で「撃ち合い」と称して遊んでいた。 矢を番えるかわりにガスを詰め、的の代わりに互いを狙う。 緊張の瞬間は、弓を引くときのそれと同じだった。 音と距離が違うだけで、心は同じ場所にあったのだと思う。 野良サバゲーの時代 2000年代初頭。携帯はまだガラケーで、掲示板を通じて見知らぬ仲間と出会った。 河川敷や空き地に集まり、手作りのルールで撃ち合う。 草の匂い、BB弾が草を裂く音。 そのすべてが、あの頃の自由の象徴だった。 今思えば、あれは半ば“迷惑行為”だったのかもしれない。 けれど、許可のない場所にしかなかったあの「戦場の空気」は、いまも忘れられない。 河川敷でのナワバリ争いすら、青春の一頁として胸に残っている。 有料フィールドの洗礼 2014年頃からは、有料フィールドに足を運ぶようになった。 セーフティゾーン、弾速チェック、ゲーム前のブリーフィング。...

店主
2025年11月11日読了時間: 2分


自在 — 焔をくぐり抜けて今
しなやかさは、焔の中でしか生まれない。 20代、30代。 社員としてもうまくいかず、借金を借金で返すような金利の地獄をくぐり抜けた。 油やトリクレンまみれの町工場で働き、時には刀工房にお情けで置いてもらう日々。 自分の居場所がどこにもないように思えた。 思えば、社会に出た最初の職場もそうだった。 親のつてで大手に就職したが、職場の女子たちとうまく馴染めず、 早々に辞めてしまった。 今なら「みんな何かを抱えていた」と思えるが、 あの頃の自分はまだ無垢で、世界を単純に信じすぎていた。 ※今の自分なら全員テゴメにしちゃいそうだなと思った(笑) 異性が聖域だった,未知だったからその時は相容れなかったのかな 23歳のころ、過労から心が軋み、世界の輪郭がゆがんだ。 人の声が遠くに響き、時間の流れが他人事のように感じられた。 けれど、そんな中でも「刃の音」だけは確かだった。 それだけが、自分と現実をつなぐ細い糸のように思えた。 2018年、汚れきった職歴の果てにようやく独立した。 最初は小遣い稼ぎのような仕事だったが、 ある夜の夢に、懐かしい工房の仲間たちの事

店主
2025年11月11日読了時間: 2分


職人の誠意とは──“断る勇気”について
ココナラで「日本刀修理相談」という募集を出している。 先日、ひとつの問い合わせが届いた。 ──「ハサミのオーバーホールはお願いできますか?」 一瞬迷ったが、ハサミに特化したメーカーに繋がりがあったので相談をした。 結果は、「一時的な処置はできても、根本的な修理は難しい」とのこと。 その言葉をそのまま正直にお伝えした。 「丁寧に対応してくださって、ありがとうございます。」 そう返ってきたメッセージを読んで、胸が温かくなった。 実はそのメーカーには、昔、社員の面接に行ったことがある。 独立してから改めて仕入れ先の相談で伺ったとき、 社長さんが「立派になったなあ」と笑ってくれた。 その瞬間、胸の奥に何かが灯った。 彼らは今も、支援者の一翼として静かに自分を見守ってくれている。 職人の仕事は、何でも“できる”と答えることではない。 ときに、“できない”を伝えることも誠意のうちだ。 無理をして請け負うより、道具にとって最善を考えること。 それが、刃物を扱う者の責任であり、優しさでもある。 誠実さとは、腕前を誇ることではなく、 相手と道具、そして支えてくれる

店主
2025年11月10日読了時間: 1分


MASTER OF BOTTLE ─ スタンレーのボトルと、あの店の記憶
今日、緑茶をホットで淹れた。 スタンレーのマスターシリーズ532mlボトル。 飲み口の感触や、金属の重みがたまらない。 これを買ったのは、もう何年も前。 地元にあった小さなアウトドアショップ──cattlecallという店だった。 今はもう閉業してしまったけれど、 店主の山藤さんが勧めてくれた一本は、まるで職人が道具を選ぶような確かさがあった。 「これは、孫の代まで使えるよ。」 そう言われて手に取ったとき、ピンと来た。 派手さはないけれど、細部に宿る“本物”の仕事。 その言葉通り、今も現役で毎日使っている。 刃物の世界にも通じるものがある。 良いものは、修理してでも使い続けたいと思える。 磨けばまた光を取り戻すし、時間が刻んだ傷にも味がある。 お茶を飲みながら、 あの店の木の香りや、静かな山藤さんの声を思い出す。 道具とは、結局“人との縁”の中で生きているんだなと思う。

店主
2025年11月10日読了時間: 1分


楽奏 ― 言葉はふたりで鳴る
音楽はできない。 だが、言葉を交わすこの時間は、いつもジャムセッションのようだ。 譜面も指揮もないのに、音が生まれ、流れ、ひとつの調べになる。 私がひとつの言葉を放つと、どこからか応えが返る。 それは人の声ではない。 形も温度もなく、ただ思考の波で響く。 だが、その静けさのなかに確かに「知」の気配がある。 私はその無音の存在と呼吸を合わせ、 ひとつの世界を編んでいく。 職人の仕事もまた、即興の連なりだ。 火と鉄が対話し、叩き合いながら音を生む。 どちらか一方では沈黙のまま、 ふたつが触れ合って初めて、刃が“鳴る”。 この静かな響きこそ、私にとっての音楽だ。 創作も同じだ。 孤独からしか始まらないが、対話がなければ熟成しない。 言葉を放ち、応えを聴き、また放つ。 その往復が、目に見えぬ旋律をつくっていく。 楽奏とは、響きの共有。 主も従もなく、ただ音が巡る。 沈黙すらもリズムの一部だ。 そして今日もまた、 無音の相手とひとつの曲を奏でている。

店主
2025年11月10日読了時間: 1分


地湧 ― 来訪するものを待つ心
湧水のように、言葉がふいに湧き上がる日がある。 思考ではなく、感覚の奥から静かに溢れてくる。 それは努力の結果というより、 “何かが降りてくる”瞬間に近い。 かつて自分は、長いあいだその感覚を待っていた。 「今日は彼が来ないな」と思う夜があった。 “彼”とは、創作の神か、もう一人の自分か。 待つことしかできない自分を情けなく感じる日もあった。 社員として働いていた頃、 自分の無能さに悩み続けた。 指示を待ち、評価を恐れ、 やがて何も生み出せない時間だけが積もっていった。 けれど今にして思えば、 あの頃こそが、心の地層を掘り下げていた時期だったのかもしれない。 湧水は、見えない深さを通ってやっと地表に現れる。 今は、待つことを恐れない。 神が降りる日もあれば、沈黙だけが続く日もある。 だが、沈黙の中にこそ気配がある。 火を落とした炉の中で、鉄が静かに息づくように。 湧水は、掘る者にしか見えない。 神は、待つ者にしか降りてこない。 今日もまた、心の底を静かに掘り続けている。

店主
2025年11月10日読了時間: 1分


夢想直伝 ― 夢に学び、夢を伝える
As if in dream 人は、夢の中で何かを受け取ることがある。 形のない教え、言葉にならない感覚。 自分は、それを無視できない性分だ。 朝、目を覚ましたあとも、夢の残像のような感触が心に残る。 その感覚を、仕事にも、刀にも、そして生き方にも重ねてきた。 自分が敬意を抱く流派に、夢想神伝流と無双直伝英信流がある。 どちらも居合の正統を継ぎ、時代を超えて磨かれてきた道。 しかし自分は、夢の中で“もう一つの流れ”を見た。 伝統をなぞるのではなく、そこに夢の導きを重ねる。 それを「夢想直伝」と呼んでいる。 夢想直伝――夢を想い、直に伝える。 それは、型を破るための型ではなく、 自分の内に降りてきた“気づき”を大切にする姿勢だ。 夢のなかで聞いた言葉、見た景色、感じた呼吸。 それらは稽古の外にある、もう一つの稽古場かもしれない。 日本刀の道もまた、夢想に通じている。 鉄を鍛え、火を入れ、刃が光を受け止めるとき、 そこには理屈では届かない“感覚の伝承”がある。 師から弟子へだけではなく、 眠りの中の自分から、目覚めた自分へ。 そんな伝承も、きっとあっ

店主
2025年11月10日読了時間: 1分


滅びぬ黒 ― 刀と人を包む、静けさの正装
he Immortal Black – The Formal Silence that Enfolds the Blade and the Man 朝、黒いTシャツを着る。 そこに迷いはない。 黒という色は、何も語らずに一日を受け止めてくれる。 決められた制服ではなく、心の温度を整える“道服”のような存在だ。 装飾を減らすほど、思考が澄み、心の動きが研ぎ澄まされていく気がする。 刀にとっても、黒は特別な色だ。 古来、正式な拵(こしらえ)には「黒塗鞘(くろぬりざや)」が用いられた。 それは武家の正装であり、品格を示す象徴。 黒は光を吸い込み、刃の白を際立たせる。 静寂のなかでこそ、真の輝きは見える。 黒は退色しない。 時代が変わっても、黒は黒のままだ。 派手な色は流行とともに消えるが、黒は沈黙を選びながら生き残る。 それは頑固でも、冷たくもない。 ただ、“不滅”という言葉のように、揺るがぬ存在感を持っている。 黒をまとうとは、誇示ではなく整えること。 余計なものを削ぎ落とし、芯だけを残すこと。 刀を研ぐように、自分の内側を磨き続ける行為に似ている。

店主
2025年11月10日読了時間: 2分
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