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製作事例 柄製作 神奈川県S様
■柄(つか)製作事例のご紹介 前回の修理ブログでは「鞘(さや)製作」についてご紹介いたしましたが、 今回は 柄(つか)製作 の事例をご紹介いたします。 ■軍刀として時代を生き抜いた御刀 刃渡り66.7cmの御刀で、銘や年紀を拝見すると、 かつて軍刀として時代を生き抜いてきたことが伺えます。 今回のご依頼者さまは、この御刀を居合で使用されるとのことで、 実用に耐えうる、確実で堅牢な造りを心がけました。 ■元金具の流用と「一貫巻」について 元の金具には、別の御刀に付いていた銅製の縁頭を分解・再利用いたしました。 なお、頭金具には紐通し穴がない様式でした。 柄巻きの技法は「一貫巻(いっかんまき)」をご指定いただきました。 この技法は「片手巻」と呼ばれることもありますが、 明智拵えのような螺旋状の巻き方を指す場合もあるため、 事前にお客様と仕様のすり合わせを行っております。 また「雁木巻」と混同されることもありますが、 菱(ひし)を作らず巻くという点で共通しながらも、技法としては異なります。 ■糸の選択:木綿の魅力 今回は木綿糸を選択されました。...

店主
2025年12月4日読了時間: 3分


値段の先を見る。刀剣修理の新しい基準
安かろう悪かろうが広まった今こそ── 刀剣修理に必要な“価格以外の基準” 最近、刀剣界隈では 「安かろう悪かろう」という言葉を耳にする場面が増えています。 修理や研ぎの失敗例が SNS 上で取り上げられ、 “価格だけで選ぶことの危うさ” が 以前よりはっきり認識されるようになったのだと思います。 刀剣の修理は、 一度の判断が 未来の数十年先を左右してしまう作業 です。 大きく削られた刃は戻せず、 折れや傷は取り返しがつかない場合もあります。 だからこそ、 単純に「安いから」と選ぶものではありません。 ■ 価格は必要。でも、決め手にはならない エクスマで有名な藤村正宏さんの言葉に、 「あなたが興味あることは値段だけですか?」 という一節があります。 刀剣修理にこの言葉を重ねると、 とても深い意味を持ちます。 修理費用はもちろん大切。 ですが刀剣には、 どう残したいか どう受け継ぎたいか どう扱っていきたいか という “意図” が不可欠です。 同じ研ぎでも、 同じ柄直しでも、 目的によって最適解はまったく変わります。 ■ 彰組が大切にしている姿勢 御

店主
2025年12月2日読了時間: 3分


日本刀修復 半太刀鞘製作事例 岐阜県Kさま
今回は、鞘の新調案件のご紹介です。 ベースは既製の合わせ鞘を使い、半太刀拵えの金具を移植していくお仕事でした。 ■ご依頼内容と半太刀拵え もともとは「今の鞘の塗り直し」をご検討されていて、 お客様ご自身で塗膜を剥がした状態の鞘をお持ち込みいただいたのが始まりでした。 そこから状態を拝見し、 「合わせ鞘をベースに新調した方が良さそうです」という流れになりました。 ■合わせ鞘でできたこと/できなかったこと 基本となる鞘は、規格品の合わせ鞘をベースにしています。 金具を現物合わせしながら調整し、 鐺(石突き) 柏葉 半太刀の金具を順番に合わせていきました。 ところが一か所だけ、どうしても寸法が折り合わなかったのが鯉口金具です。 鯉口金具だけ、合わせ鞘側の寸法とどうしても噛み合いませんでした。 お持ち込みいただいた鯉口金具の方がわずかに小さく、 このままでは鞘に対して寸法が足りない状態でした。 ハバキの寸法を基準に考えると、 鯉口金具を活かすためには ハバキを作り直す か、 鯉口金具に合わせて 鞘の口元を細く削り込む といった大掛かりな加工が必要になりま

店主
2025年12月1日読了時間: 4分


Vision Care 江戸の職人たちの眼を想う
先日、数年ぶりに眼鏡を更新。「遠近両用」に踏み切った。 ずっと使っていた OAKLEY のフレームは、惜しいけれど今回で卒業。 視界が遠くなり、作業のピントが合いづらくなったのは、認めざるを得ないサインだった。 関市の キクチメガネ さんで、1時間以上かけて検眼していただき、 仕上がったのは、思っていたよりもずっと穏やかな遠近両用だった。 初日は―― 遠くを見ると世界が少し歪むような、不思議な浮遊感があった。 だが、一晩経つとすっと視界が整い、 目とレンズが“歩み寄った”ような感覚になった。 さらに極めつけは、店頭の「お楽しみくじ」。 まさかの 2,000円当選。 引き渡し前だったのでそのままキャッシュバック。 ついでに偏光のサングラスアタッチメントも2割引で手に入った。 誕生日優待より手厚い「ご町内優待」も発動した。 SNS(X)でその話を投稿したら、 キクチメガネ公式キャラ「オプトくん」がリポストしてくれた。 企業公式に拾われるとは思わず、少し照れつつも嬉しい気持ちになった。 ■ 気づき 遠近に初めて触れ、 “見えるということ”...

店主
2025年11月24日読了時間: 5分


聖剣─ 取り戻された品格と、お守り刀になるまで
■聖剣との出会いと、最初のご相談 今回のご依頼は、心を砕きました。 最初は、軽い修正のつもりでお預かりしたのですが、 ふたを開けてみれば、最終的には大掛かりな仕事になりました。 刃渡りも十分にある諸刃の剣です。 一般的な「剣」は短いものが多いのですが、 この一振りは、まさに“聖剣”と呼びたくなる風格を持っていました。 ■遠方の工房へ託した研ぎと、思わぬ行き違い 研ぎについては、遠方の工房にお願いすることになりました。 本来であれば、研ぎは仕上げに行うべきところ、 他の段取りとの兼ね合いもあり、先に進める形になりました。 それに付随して、いくつかの加工も合わせて依頼しました。 初めてのお付き合いということもあり、 こちらとしても大きな期待を込めて託したのですが、 そこで思いがけないアクシデントが起きてしまいました。 詳細を書くのは控えますが、 そのままお客様へお返しするには忍びない状態になってしまい、 私自身の判断の甘さも含めて、深く反省するきっかけになりました。 ■関の職人たちと探した、リカバリーの道 すぐに関市内の職人方に相談し、 「なんとか元

店主
2025年11月13日読了時間: 3分


サブ端末を買って良かった話
静かな夜に寄り添う“良い道具” 寝る前の動画垂れ流し用に使っていたTeclastの8インチタブレットが、半年で沈黙した。バッテリーがだめになったらしく、充電してもすぐ落ちる。値段も手頃だったけど、やっぱり安物買いの銭失い。 セール中に見つけたRedmi Pad SE 8.7(¥9980-)に買い替えたら、これが大正解。画面は明るく発色が自然で、音もクリア。バッテリーもちゃんと持つし、熱もほとんど出ない。省電力設計という言葉がここまで実感できるとは思わなかった。 同じくらいの値段なのに、ここまで差が出るのかと驚く。やっぱりXiaomiは作りが丁寧。ちなみにスマホもPOCO X7 Proを使っていて、操作感が統一されていて気持ちがいい。寝る前に動画をつけっぱなしにして、朝まで安心して放置できる──それだけで十分価値がある。

店主
2025年11月11日読了時間: 1分


サバイバルゲームと刀
—現代の戦場で思う、心の間合い— はじまりは弓道部の放課後 高校1年のとき、同級生のK島から譲ってもらったガスガンがすべての始まりだった。 彼とは弓道部の仲間で、放課後になると裏山で「撃ち合い」と称して遊んでいた。 矢を番えるかわりにガスを詰め、的の代わりに互いを狙う。 緊張の瞬間は、弓を引くときのそれと同じだった。 音と距離が違うだけで、心は同じ場所にあったのだと思う。 野良サバゲーの時代 2000年代初頭。携帯はまだガラケーで、掲示板を通じて見知らぬ仲間と出会った。 河川敷や空き地に集まり、手作りのルールで撃ち合う。 草の匂い、BB弾が草を裂く音。 そのすべてが、あの頃の自由の象徴だった。 今思えば、あれは半ば“迷惑行為”だったのかもしれない。 けれど、許可のない場所にしかなかったあの「戦場の空気」は、いまも忘れられない。 河川敷でのナワバリ争いすら、青春の一頁として胸に残っている。 有料フィールドの洗礼 2014年頃からは、有料フィールドに足を運ぶようになった。 セーフティゾーン、弾速チェック、ゲーム前のブリーフィング。...

店主
2025年11月11日読了時間: 2分


自在 — 焔をくぐり抜けて今
しなやかさは、焔の中でしか生まれない。 20代、30代。 社員としてもうまくいかず、借金を借金で返すような金利の地獄をくぐり抜けた。 油やトリクレンまみれの町工場で働き、時には刀工房にお情けで置いてもらう日々。 自分の居場所がどこにもないように思えた。 思えば、社会に出た最初の職場もそうだった。 親のつてで大手に就職したが、職場の女子たちとうまく馴染めず、 早々に辞めてしまった。 今なら「みんな何かを抱えていた」と思えるが、 あの頃の自分はまだ無垢で、世界を単純に信じすぎていた。 ※今の自分なら全員テゴメにしちゃいそうだなと思った(笑) 異性が聖域だった,未知だったからその時は相容れなかったのかな 23歳のころ、過労から心が軋み、世界の輪郭がゆがんだ。 人の声が遠くに響き、時間の流れが他人事のように感じられた。 けれど、そんな中でも「刃の音」だけは確かだった。 それだけが、自分と現実をつなぐ細い糸のように思えた。 2018年、汚れきった職歴の果てにようやく独立した。 最初は小遣い稼ぎのような仕事だったが、 ある夜の夢に、懐かしい工房の仲間たちの事

店主
2025年11月11日読了時間: 2分


職人の誠意とは──“断る勇気”について
ココナラで「日本刀修理相談」という募集を出している。 先日、ひとつの問い合わせが届いた。 ──「ハサミのオーバーホールはお願いできますか?」 一瞬迷ったが、ハサミに特化したメーカーに繋がりがあったので相談をした。 結果は、「一時的な処置はできても、根本的な修理は難しい」とのこと。 その言葉をそのまま正直にお伝えした。 「丁寧に対応してくださって、ありがとうございます。」 そう返ってきたメッセージを読んで、胸が温かくなった。 実はそのメーカーには、昔、社員の面接に行ったことがある。 独立してから改めて仕入れ先の相談で伺ったとき、 社長さんが「立派になったなあ」と笑ってくれた。 その瞬間、胸の奥に何かが灯った。 彼らは今も、支援者の一翼として静かに自分を見守ってくれている。 職人の仕事は、何でも“できる”と答えることではない。 ときに、“できない”を伝えることも誠意のうちだ。 無理をして請け負うより、道具にとって最善を考えること。 それが、刃物を扱う者の責任であり、優しさでもある。 誠実さとは、腕前を誇ることではなく、 相手と道具、そして支えてくれる

店主
2025年11月10日読了時間: 1分


MASTER OF BOTTLE ─ スタンレーのボトルと、あの店の記憶
今日、緑茶をホットで淹れた。 スタンレーのマスターシリーズ532mlボトル。 飲み口の感触や、金属の重みがたまらない。 これを買ったのは、もう何年も前。 地元にあった小さなアウトドアショップ──cattlecallという店だった。 今はもう閉業してしまったけれど、 店主の山藤さんが勧めてくれた一本は、まるで職人が道具を選ぶような確かさがあった。 「これは、孫の代まで使えるよ。」 そう言われて手に取ったとき、ピンと来た。 派手さはないけれど、細部に宿る“本物”の仕事。 その言葉通り、今も現役で毎日使っている。 刃物の世界にも通じるものがある。 良いものは、修理してでも使い続けたいと思える。 磨けばまた光を取り戻すし、時間が刻んだ傷にも味がある。 お茶を飲みながら、 あの店の木の香りや、静かな山藤さんの声を思い出す。 道具とは、結局“人との縁”の中で生きているんだなと思う。

店主
2025年11月10日読了時間: 1分
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