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日本刀柄巻き直し事例 握り具合を調整 山口県O様
■柄をもう少し太くしたいというご依頼 今回ご紹介する事例は、柄の握り具合にフォーカスしたものとなります。 合わせ鞘のご依頼と合わせて、柄巻き直しをさせて頂きました。 元の柄が雁木巻(片手巻)という仕様で、中央部に菱を作らず巻かれている特徴から、 握った具合が細く感じる、もう少し太くしたいというご要望でした。 ■巻鮫柄では下地の太さを変えられない 全体に菱のあるひねり巻きにすれば変化を求められるのと同時に、 下地を盛って太くできればベストなのですが、 今回の柄は鮫皮が巻鮫されており、下地では調整が出来ませんでした。 そこで、目貫を大目貫に差し替え、厚みを持たせる工夫を施しました。 ■目貫位置について 目貫位置については、若干中央寄りに感じたというご感想を頂きました。 今回、目貫位置については巻師さんに一任しましたが、 目的を鑑みれば「指に掛かる位置」という指示の方が最良だったかもしれません。 ■巻鮫柄のメリットと制約 巻鮫柄をご希望されるお客様は大変多く、一種の信仰のような価値観さえ感じます。 しかし、後日握り具合を変更できない、や、...

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8月21日読了時間: 3分


日本刀修理事例 切っ先調整(刃引き) 神奈川県I様
■切っ先をぶつけて曲がってしまった御刀 今回の事例は大掛かりな修理ではありませんが、比較的よくあるトラブルの修正です。 切っ先を固いところへぶつけてしまい、歪み・曲がりが残ってしまったため、 修復できないかというご相談でした。 お預かりする前の段階では、帽子のみを研ぎ直す修理を想定しておりました。 実際に御刀を拝見すると、刀身全体の研ぎの状態があまり良くなく、 切っ先だけの帽子直しに予算を掛けるべきではないと判断しました。 そこで今回は、刃引き(刃先を少しなだらかにする加工)による 簡易的な修正をご提案させていただきました。 切っ先は予想していたよりも自然な仕上がりとなり、 当初の目的は十分に果たせたと思います。 ■鍔のガタつきと鯉口の緩み また、鍔が表裏逆に取り付けられていたため正しい向きに戻し、 大きく出ていたガタつきも修正いたしました。 鯉口も緩く、刀を下に向けると刀身が落ちてきてしまうとの ご相談がありましたので、鞘の内側に朴の木を貼って調整しました。 ■柄木には割れがありました 柄については、分解して確認したところ柄木が割れていました。

店主
8月19日読了時間: 3分


日本刀修復事例 白鞘製作(代表例)
今回は、日本刀の白鞘製作をご紹介します。 白鞘は、研ぎ上がった刀身などを保管するための朴木製の鞘と柄です。 拵えの鞘とは異なり、塗りや金具などの装飾はありませんが、 御刀に合わせて一本ずつ製作する仕事となります。 今回も御刀をお預かりし、現物に合わせて白鞘を製作いたしました。 白鞘は刀身を収めて保管するためのものですので、 単純に寸法だけを合わせればよいものではありません。 刀身の姿や反り、ハバキなどを確認しながら製作していきます。 完成した白鞘がこちらです。 白鞘製作は、現在 一寸あたり3,300円~(税込) で承っております。 例えば刃長二尺三寸の場合、白鞘製作の基本価格は75,900円~となります。 御刀の状態やハバキ等によって追加の工作が必要となる場合もございますので、 現物を確認したうえで正式なお見積りをご案内しております。 古い白鞘が傷んでいる場合や、 拵えに入っている御刀を保管するため新たに白鞘を製作したい場合など、 お気軽にご相談ください。 #白鞘製作 #日本刀修理 #日本刀修復 #日本刀レストア

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8月18日読了時間: 1分


昭和関おもしろナイフ展を取材しました
■関刃物文化継承会が伝える、昭和のナイフと関のものづくり 令和8年8月1日、せきてらす刃物工房で開催された 「ナイフづくり教室と昭和 関 おもしろナイフ展」を取材しました。 今回の催しは当初、8月1日の一日限りの予定でしたが、 急遽8月2日も開催されることになりました。 株式会社森塗料店時代の元上司で、 ナイフコレクターでもある平林さんが事前に投稿してくださったおかげで、 見逃さずに足を運ぶことができました。 会場では、昭和期に関で作られたさまざまなナイフが展示され、 同時にナイフの組み立てや仕上げを体験できる教室も行われていました。 ■昭和の関で作られた個性的なナイフ 展示されていたのは、一般的なポケットナイフだけではありません。 飛行機や拳銃を模したもの、独特な機構を備えたもの、装飾性の高いものなど、 当時の職人やメーカーの発想が感じられる品が数多く並んでいました。 現在の刃物とは異なる、昭和らしい自由さや遊び心があります。 一見すると玩具のように見えるものでも、 刃物としての構造や加工には職人の技術が使われています。 製品そのものだけでなく

店主
8月1日読了時間: 5分


高羽弘宗刀匠との再会-工房を訪問させて頂きました
先日、岐阜県関市の中華料理店「中華料理にいはお」さんへ ランチに行きましたところ、関市在住の刀匠「高羽弘宗刀匠」に再会しました。 自撮りを一枚お願いし、掲載許可を頂けました。 当ホームページのABOUT USページには、以前、弘宗刀匠とご一緒した居酒屋での ツーショット写真を使用していましたが、お顔は伏せさせて頂いていました。 今回、改めてその写真の使用許可を頂くため、工房を訪問させていただきました。 ■思いがけない工房取材 昼下がりの工房。 暑い時期でもあり、弘宗刀匠は休憩されておりました。 差し入れのクラフトビールをお渡しし、写真の件もご快諾頂けました。 すると、 「工房の写真を撮影していくかい?」 とうれしいご提案を頂き、取材させていただくことになりました。 ■高羽誠氏の名を冠した鍛錬所 鍛錬所には、弘宗刀匠のお父様「故・高羽誠」氏の名を冠した看板が掲げられています。 映画『怪獣ヤロウ!』でも、この看板と「高羽」の姓までそのまま使われており、 弘宗刀匠ご本人も驚かれたそうです。 映画の撮影秘話も、いろいろと聞かせて頂きました。...

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7月29日読了時間: 4分


日本刀修復事例 拵え合わせハバキ製作 北海道S様
今回は完成した姿だけでなく、製作の過程も含めてご紹介いたします。 ■破損したハバキの修復 中古で購入された御刀のハバキが壊れているとのことで、修復のご依頼をいただきました。 拝見すると、元のハバキは割れており、刀身に対して大きなガタつきもありました。 元々この御刀に合わせて作られたハバキであるかどうかも定かではなく、 刀身と柄、鞘がそれぞれ安定して固定されていない状態でした。 限られたご予算の中で、現在の柄と鞘をできる限り活かし、 一式が揃った姿に戻したいというご相談でした。 ■一度目の製作と見立て違い 破損したハバキを基準として寸法を判断することが難しく、 目釘穴までの距離が遠いように見えたため、 職人さんには「ハバキの呑み込みを浅くし、それでも調整が必要であれば切羽を交換する」 という指示をお願いしました。 しかし、実際には目釘穴までの距離は遠くなく、 通常に近い高さで製作しても問題のない状態でした。 そのため、こちらの指示に沿って完成したハバキは、機能上は納まっていたものの、 姿としてはやや寸の詰まった印象となってしまいました。...

店主
7月27日読了時間: 3分


日本刀修理 鞘修復(塗り)千葉県S様
■遠方よりご来店いただきました 千葉県にお住まいのお客様でしたが、名古屋へ出張された際に足を延ばして 関市までお越しくださり、直接打ち合わせをさせていただきました。 ■鞘の状態を確認 拵の修復をご検討とのことで拝見したところ、柄には特に問題はありませんでしたが、 鞘の塗装に傷みがあり、鯉口部品も破損しており、確かに修復が必要な状態でした。 本身は白鞘に収められており、拵の鞘がなくても保管には問題がないため、 今回は鞘のみをお預かりしました。 ■鯉口・鐺と割れの修復 修復にあたっては、破損していた水牛角製の鯉口部品を取り外し、新規製作しました。 鐺は過去に一度欠落したものを再接着されていたようですが、 取り付け位置が適切でなく、キワの塗装にも剥がれが見られました。 そのため一旦取り外し、位置を調整して再取り付けしました。 そのほか、合計3か所の割れを補修し、傷んだ塗膜を一旦剥がしたうえで、 全体を再塗装して納品させていただきました。 この際、下緒も新しいものに交換し、飾り結びを施しました。 ■既存の鞘を生かして再塗装 状態としては、もう少し傷みが進

店主
7月18日読了時間: 2分


超長寸 三尺三寸刀の鞘について
今回は、奉納刀や一部の流派で使用されるような、超長寸の御刀の鞘についてです。 先日、三尺三寸刀用の鞘のみを納品いたしました。 刃渡りが長くなり、反りも深くなるほど、鞘との適合は難しくなります。 通常、真剣用の鞘は刀身に合わせて製作・調整する必要がありますが、今回はお客様より、 「展示用の外装を用意したい」 「鞘に合わせてツナギ(継木)を製作する」 というご希望をいただいておりました。 そのため、刀身への適合については考慮せず、模擬刀向けの規格鞘の最大寸法である、 三尺三寸用の鞘を手配いたしました。 今回手配した鞘の寸法は以下の通りです。 全長:約106cm 反り:約24~26mm 鯉口外寸:42.5mm × 24mm 価格は、既定の塗りである黒呂・黒石目・茶石目であれば、 29,700円(税込) となります。 ただし、こちらはあくまで模擬刀用の規格品です。 真剣の刀身にそのまま適合するとは限らず、 特に長寸刀の場合は反り・身幅・重ね・切先の形状などによって、 納まりに大きな差が出る場合がございます。 真剣用として確実に納める場合は、刀身に合わせた

店主
5月22日読了時間: 2分


製作事例 拵え新調-特殊栗形移植 福島県T様
■中古で購入された御刀を居合道用に整える 今回は、中古で購入された御刀を、今後居合道で使用されるためにお預かりいたしました。 現状の鞘には傷みがあり、また柄の不具合から鍔にガタつきも見られたため、 当初は合わせ鞘の確認と、柄・鍔まわりの調整としてご相談をいただきました。 ■既製の合わせ鞘には収まらなかった理由 まず合わせ鞘を確認したところ、御刀は身幅が広く、重ねも厚い、 がっしりとした造りでした。さらに大きな二重ハバキが付いており、 既製の合わせ鞘の鯉口には収まりませんでした。 ■二重ハバキを活かした鞘製作 今後の鞘の選択肢を増やすという意味では、ハバキをより一般的な一重のもの、 さらに言えば薄めのものに作り替える方法もございました。 ただし、個人的な所見としては、外してしまうには惜しい良いハバキでしたので、 今回はそのハバキを活かし、鞘を新規で製作する方向でご提案させていただきました。 ■居合道での使用に向かなかった元柄 柄についても、一筋縄ではいきませんでした。 元の柄は、御刀に対して中心が出ておらず、棟側に寄った状態でした。 また、縁金具の

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5月10日読了時間: 3分


日本刀修理 製作事例 研ぎ直し・拵調整・ツナギ製作 熊本県Y様
↑まず1枚目の写真は、完成後の姿です。 今回ご依頼くださったのは、ご年配の方でありながら 「刀剣修理を依頼するのは初めて」と仰るY様でした。 ご連絡にはLINEを使いたいとのことで、 初期登録も含めてお手伝いしながら打ち合わせを進めました。 Y様は大変熱量のある方で、メッセージでのやり取りだけでなく、 お電話でも根気強くお付き合いくださいました。 仕様決定後、予定納期は半月ほど超過してしまいましたが、 無事にお引き渡しまで進めることができました。 ■ご相談のきっかけ 最初のご相談はヤフーオークション経由でした。 ところが、こちらの見積もりで研ぎ代の金額にゼロをひとつ多く記載してしまうミスが あり、「それなら刀が買えてしまうので今回はやめます」という流れになりかけました。 すぐに訂正したところご納得いただき、 その後あらためて連絡先を交換し、ご依頼へと繋がりました。 ■今回の主な工作について 今回の工作の中心となったのは、刀身の研ぎ直しです。 もともとの状態でも悪い研ぎではありませんでしたが、小さな刃こぼれがあり、 Y様はその点を大変気にされていま

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4月12日読了時間: 4分


小柄の竹光三本を納品いたしました
■小柄のツナギ三本を納品いたしました 特殊形状鞘のご依頼(2026年9月納品予定)のついでに、 小柄のツナギ(竹光)三本をご依頼いただき、このたび納品いたしました。 刀身のない小柄袋を、見た目と収まりの上で整えるための小さな仕事ですが、 いざ手を入れてみると、なかなか興味深い点の多い内容でした。 ■ツナギの材について ツナギは通常、朴木(ほおのき)で製作します。 ただ、今回の小柄ツナギは穂先が非常に直線的な形状であるため、 材の性質を考えて竹材を用いています。 刀のツナギとはまた少し勝手が違い、 小柄ならではの細さや形状に合わせて、 材の選択も変わってくるところが面白い点です。 ■小柄の穂先について、少しだけ深掘り 小柄を見ていると、もちろん例外はあるものの、 不思議なくらい穂先まわりの規格が近いものが多く見受けられます。 時代や流派、拵えごとの事情によって差はありますし、 実際に「これはやや大きい」「これは細い」と感じるものもあります。 それでも数を見ていくと、穂先の寸法や納まり方には、 ある程度の“お約束”があるように思わされます。...

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4月4日読了時間: 4分


新作刀脇差完成(赤松太郎作)千葉県N様
■X(旧Twitter)でのご縁から始まった、N様とのご依頼の経緯 N様とは、X(旧Twitter)を通じてご縁をいただきました。 刀についてのやり取りを重ねる中で信頼関係を築くことができ、 令和四年にまず新作刀-大刀をご依頼いただきました。 その後、大小の揃いとして脇差の製作をご相談いただき、 今回の新作刀-脇差のご依頼へと繋がりました。 製作期間は約一年間。 肥後の國の刀匠 赤松太郎 作の一振です。 ■大小が床の間に納まった姿 ― 黒檀刀掛けと共に 大刀をお納めした際は、その特徴的な鞘蒔絵からご依頼主であるN様を 特定できてしまう懸念があり、掲載は控えておりました。 しかし今回、遠景ではございますが、 当店ラインナップのハイエンド黒檀刀掛けと共に納まったお写真をご提供いただきました。 (刀剣部分を切り出して掲載させていただいております) もちろん実用刀ではありますが、 そこに静かに鎮座する姿は、まさに「魂」と呼ぶにふさわしい佇まいでした。 ■大刀との調和を意識した、黒を基調とした拵 黒を基調とした拵は大刀との調和を意識した落ち着いた仕上がりと

店主
3月8日読了時間: 4分


日本刀修理 軍刀修復 ツナギ製作事例 韓国P様
■韓国よりご依頼 ― 旧日本軍軍刀の全体再構成 2025年10月に、軍刀の柄のみを修復させていただいた案件の続編です。 前回記事はこちら ↓ 日本刀修理 製作事例 柄巻き 韓国P様(リンク) 今回は、お隣の国・韓国よりご依頼をいただきました。 曾祖父様の形見である旧日本軍の軍刀を、全体として形にしたいとのご相談でした。 前回は柄のみの修復でしたが、 今回は拵え全体の再構成をお手伝いさせていただきました。 ■現存部品と今回の方針 現状として、 ・柄 ・鞘 ・鍔 ・切羽 は存在していました。 お客様が別途入手されたハバキは寸法的に使用が難しく、 無理に合わせることはせず、そのままご返却いたしました。 ■国内であれば通常の手法 国内案件であれば、 砂型鋳造による亜鉛合金(シノハラ製Z合金)を使用し、 模擬刀刀身を仕込む方法が最も一般的です。 しかし、韓国では刀剣類に関する規制が厳しいとのことで、 P様より「木製での製作を希望する」とのお申し出がありました。 そのため今回は、 伝統的な技法に則ったツナギ(継木)、 すなわち木製刀身を製作する方針といたしま

店主
2月28日読了時間: 3分


日本刀修復 ヤフオクの格安刀 レストア事例 埼玉県N様
■ヤフオクの一振を「もう一度、脇差として立たせる」 今回は、ヤフオクにて格安で入手された脇差を修復したいというご依頼でした。 落札金額は、約5万円とお聞きしています。 ビフォーの資料として、ヤフオク出品時の写真を掲載いたします。 スタジオ撮影までしてこの金額ですから、出品者側は薄利どころの話ではないですね。 (途中で出品取り消しなどはされなかったようです) 写真で拝見した時点で、 拵えのパーツ構成 全体の雰囲気 切羽や金具の質 などから、「部品だけ見ても5万円の価値は十分にあるな」と感じました。 いわゆる“ジャンク品”というよりは、手を入れれば生き返る一振という印象でした。 ■部品構成と、今回の修復メニュー 部品の状態を確認したところ、 切羽はそのまま使えそうでしたので、今回は流用しています。 主な作業内容としては、 ・荒研ぎ ・仕上げ研ぎ ・ハバキ製作(新規) ・柄・鞘の新規製作 ・鍔、切羽の調整(責め金など) という、いわばフルレストアに近い内容となりました。 既存部品を活かせるところは活かしつつ、 要となる部分はきちんと手を入れ直すことで、

店主
1月15日読了時間: 4分


友人・二代目兼正刀匠「大野兼正氏」の工房へ訪問
■Xのタイムラインから始まった再会 Xのタイムラインに、古い友人である二代目兼正刀匠関係の投稿が表示されました。 懐かしく思い、久しぶりにメッセージを送ったところ、 ちょうどお互いに時間が取れそうだったため、 その日のうちに工房を訪問させていただきました。 約束を何週間も前から決めていたわけではなく、 投稿を見かけたことをきっかけに、自然な流れで再会が決まった形です。 こういう気軽な行き来ができることを、ありがたく思います。 ■ホット緑茶を持って工房へ 差し入れには、ホットの緑茶を持参しました。 兼正刀匠は、 「アイスじゃなくてGJ」 と喜んでくださいました。 工房で身体を動かした後には温かいものがよかったようです。 二人で緑茶を飲みながら、近況や仕事のこと、昔の話まで、ゆっくり話しました。 ■フル稼働している回転砥石 工房では、作刀や鍛造体験で使用されている回転砥石も見せていただきました。 かなり使い込まれており、砥石の残りも少なくなっていました。 近いうちに買い替える必要があるそうですが、 一般的な既製品ではなく特注品のため、価格もかなり高い

店主
2025年12月9日読了時間: 4分


鮫皮輸入の相談と、国際発送を覚えるまで
■鮫皮ビジネスから始まった、ちょっと不思議なご縁の話 今から数年前、ある方から突然「鮫皮を輸入して販売したい」 という相談を受けたことがあった。 輸出入の仕事をしている人ではあったが、刀装具の世界に詳しいわけでもなく、 鮫皮の種類や等級、相場も知らない。 ただ何となく、「輸入して売れそう」と思っただけのようだった。 鮫皮は刀の柄に巻くために欠かせない素材だが、実はとても奥が深い。 原皮の種類、加工方法、節(粒)の揃い具合、厚み。 さらに国をまたげば CITES(ワシントン条約)の規制も絡む。 その上、漁獲量や価格も安定しない。 そんな素材を「とりあえず輸入したい」と言われても、正直なところ難易度は相当に高い。 とはいえ、せっかく話を持ってきてくれたので、 まずは参考用に鮫皮のサンプルを二種類取り寄せた。 そのうち一つは、濃州堂さんが扱っている鮫皮とほぼ同等の品質で、 今も手元に残っている。 しかし問題はそこから先だった。 鮫皮の輸入は、価格も漁獲も在庫状況もとにかく不透明だ。 継続した供給が読めなければ商売として成り立たない。 まして刀装具業界は

店主
2025年12月5日読了時間: 4分


製作事例 柄製作 神奈川県S様
■柄(つか)製作事例のご紹介 前回の修理ブログでは「鞘(さや)製作」についてご紹介いたしましたが、 今回は 柄(つか)製作 の事例をご紹介いたします。 ■軍刀として時代を生き抜いた御刀 刃渡り66.7cmの御刀で、銘や年紀を拝見すると、 かつて軍刀として時代を生き抜いてきたことが伺えます。 今回のご依頼者さまは、この御刀を居合で使用されるとのことで、 実用に耐えうる、確実で堅牢な造りを心がけました。 ■元金具の流用と「一貫巻」について 元の金具には、別の御刀に付いていた銅製の縁頭を分解・再利用いたしました。 なお、頭金具には紐通し穴がない様式でした。 柄巻きの技法は「一貫巻(いっかんまき)」をご指定いただきました。 この技法は「片手巻」と呼ばれることもありますが、 明智拵えのような螺旋状の巻き方を指す場合もあるため、 事前にお客様と仕様のすり合わせを行っております。 また「雁木巻」と混同されることもありますが、 菱(ひし)を作らず巻くという点で共通しながらも、技法としては異なります。 ■糸の選択:木綿の魅力 今回は木綿糸を選択されました。...

店主
2025年12月4日読了時間: 3分


値段の先を見る。刀剣修理の新しい基準
安かろう悪かろうが広まった今こそ── 刀剣修理に必要な“価格以外の基準” 最近、刀剣界隈では 「安かろう悪かろう」という言葉を耳にする場面が増えています。 修理や研ぎの失敗例が SNS 上で取り上げられ、 “価格だけで選ぶことの危うさ” が 以前よりはっきり認識されるようになったのだと思います。 刀剣の修理は、 一度の判断が 未来の数十年先を左右してしまう作業 です。 大きく削られた刃は戻せず、 折れや傷は取り返しがつかない場合もあります。 だからこそ、 単純に「安いから」と選ぶものではありません。 ■ 価格は必要。でも、決め手にはならない エクスマで有名な藤村正宏さんの言葉に、 「あなたが興味あることは値段だけですか?」 という一節があります。 刀剣修理にこの言葉を重ねると、 とても深い意味を持ちます。 修理費用はもちろん大切。 ですが刀剣には、 どう残したいか どう受け継ぎたいか どう扱っていきたいか という “意図” が不可欠です。 同じ研ぎでも、 同じ柄直しでも、 目的によって最適解はまったく変わります。 ■ 彰組が大切にしている姿勢 御

店主
2025年12月2日読了時間: 3分


日本刀修復 半太刀鞘製作事例 岐阜県Kさま
今回は、鞘の新調案件のご紹介です。 ベースは既製の合わせ鞘を使い、半太刀拵えの金具を移植していくお仕事でした。 ■ご依頼内容と半太刀拵え もともとは「今の鞘の塗り直し」をご検討されていて、 お客様ご自身で塗膜を剥がした状態の鞘をお持ち込みいただいたのが始まりでした。 そこから状態を拝見し、 「合わせ鞘をベースに新調した方が良さそうです」という流れになりました。 ■合わせ鞘でできたこと/できなかったこと 基本となる鞘は、規格品の合わせ鞘をベースにしています。 金具を現物合わせしながら調整し、 鐺(石突き) 柏葉 半太刀の金具を順番に合わせていきました。 ところが一か所だけ、どうしても寸法が折り合わなかったのが鯉口金具です。 鯉口金具だけ、合わせ鞘側の寸法とどうしても噛み合いませんでした。 お持ち込みいただいた鯉口金具の方がわずかに小さく、 このままでは鞘に対して寸法が足りない状態でした。 ハバキの寸法を基準に考えると、 鯉口金具を活かすためには ハバキを作り直す か、 鯉口金具に合わせて 鞘の口元を細く削り込む といった大掛かりな加工が必要になりま

店主
2025年12月1日読了時間: 4分


聖剣─ 取り戻された品格と、お守り刀になるまで
■聖剣との出会いと、最初のご相談 今回のご依頼は、心を砕きました。 最初は、軽い修正のつもりでお預かりしたのですが、 ふたを開けてみれば、最終的には大掛かりな仕事になりました。 刃渡りも十分にある諸刃の剣です。 一般的な「剣」は短いものが多いのですが、 この一振りは、まさに“聖剣”と呼びたくなる風格を持っていました。 ■遠方の工房へ託した研ぎと、思わぬ行き違い 研ぎについては、遠方の工房にお願いすることになりました。 本来であれば、研ぎは仕上げに行うべきところ、 他の段取りとの兼ね合いもあり、先に進める形になりました。 それに付随して、いくつかの加工も合わせて依頼しました。 初めてのお付き合いということもあり、 こちらとしても大きな期待を込めて託したのですが、 そこで思いがけないアクシデントが起きてしまいました。 詳細を書くのは控えますが、 そのままお客様へお返しするには忍びない状態になってしまい、 私自身の判断の甘さも含めて、深く反省するきっかけになりました。 ■関の職人たちと探した、リカバリーの道 すぐに関市内の職人方に相談し、 「なんとか元

店主
2025年11月13日読了時間: 3分
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